四十八茶百鼠
2005年 03月 24日
久しぶりの雨。
今夜は、大好きなJAZZシンガーケイコ・リーのベストアルバム『Voices』を聴きながら、ブルーノートな夜を過ごしています。
部屋の電気を消して、キャンドルに火を点もし、フリュイ ドゥ ヴェルジェのお香をくゆらせれば、そこは極上のヒーリング空間――エステやスパなんかに行かなくたって、上質なリラックスタイムを味わうことができます。
ここのところずっと忙しかったので、楽しみにしている美術館めぐりもお預け状態のままですが、「時間がない」という制約の中で、どれだけ自分を楽しませることができるのか――いざ始めてみると、この「歓び探しゲーム」は、なかなか奥が深いものです。本来、こうした平凡な暮らしのなかにこそ、潤いのある「非日常」の演出はなされるべきだと思っていますが、日常のさまざまな「制限」のなかで、最大公約数の希望を作りだしていく力こそ、本当の意味でのプロデュース力と言えるのではないでしょうか。
ところで「四十八茶百鼠」という言葉をご存じでしょうか?
まさに「制限」から生まれた庶民の知恵――たくましい「発想の転換」が生んだ、元禄時代の「粋」の色彩文化です。
華やかな衣装を楽しむ町人たちの贅沢を取り締まろうと、幕府が発令したのは「奢侈禁止令」。衣服の生地や色までも制限されるという屈辱のなかで、江戸の人々はやむなく茶色や鼠色系統の地味な着物を着るようになりました。
しかし彼らは「色」を遊ぶという全く新しい発想の転換で、見事なリベンジを果たすのです。何と従来の「茶色」や「鼠色」に、「団十郎茶」や「璃寛茶」「利休鼠」といった当時人気の歌舞伎役者や風月山水などの名前をつけ、微妙な中間色の色合いを次々と作り出していきました。使える色に「制限」があったからこそ、より豊かな色彩が生まれ、「粋」が競われていったのです。
現代に生きる私たち日本人のDNAにも、こうした「制限」の壁と闘った、江戸の人々と同じ心意気が組み込まれているはず。だとしたら、限界と思いこんでいる自身の臆病の壁だって、超えられないはずがありません。
JAZZを聴きながら、日本の色に遊ぶ不思議な夜。
当分の間、美術館に行く時間は持てそうにありませんが、その代わり自宅に居ながらにして、江戸時代までタイムスリップできる「粋な遊び」を手に入れることができました。
ちなみに「四十八茶百鼠」ってこんな感じ。日本人って、ほんとにスゴイいなぁ。
【茶色】
路考茶、瑠寛茶、梅幸茶、団十郎茶、芝翫茶、岩井茶、路春茶、遠州茶、
利休茶、利休白茶、宗伝唐茶、宗伝茶、観世茶、白茶、黄茶、赤茶、青茶、
緑茶、黒茶、金茶、唐茶、昔唐茶、樺茶、江戸茶、土器茶、枯茶、媚茶、
焦茶、葡萄茶、栗皮茶、煤竹茶、御召茶、黄海松茶、木枯茶、桑茶、沈香茶、
千歳茶、百塩茶、丁子茶、枇杷茶、黄唐茶、山吹茶、鴬茶、鶸茶、雀茶、鳶茶
【鼠色】
桜鼠、素鼠、銀鼠、丼鼠、利休鼠、深川鼠、藤鼠、鳩羽鼠、青柳鼠、
梅鼠、想思鼠、納戸鼠、紅消鼠、松葉鼠、柳鼠、葡萄鼠、白鼠、茶鼠、
藍鼠、錆鼠、濃鼠、小町鼠、薄雲鼠、鴨川鼠、淀鼠、水色鼠、湊鼠、
空色鼠、浪花鼠、中鼠、都鼠、御召鼠、小豆鼠、臙脂鼠、紅鼠、牡丹鼠、
茶気鼠、嵯峨鼠、壁鼠、生壁鼠、山吹鼠、玉子鼠、島松鼠、呉竹鼠、
貴族鼠、源氏鼠、繁鼠、黒鼠
今夜は、大好きなJAZZシンガーケイコ・リーのベストアルバム『Voices』を聴きながら、ブルーノートな夜を過ごしています。
部屋の電気を消して、キャンドルに火を点もし、フリュイ ドゥ ヴェルジェのお香をくゆらせれば、そこは極上のヒーリング空間――エステやスパなんかに行かなくたって、上質なリラックスタイムを味わうことができます。
ここのところずっと忙しかったので、楽しみにしている美術館めぐりもお預け状態のままですが、「時間がない」という制約の中で、どれだけ自分を楽しませることができるのか――いざ始めてみると、この「歓び探しゲーム」は、なかなか奥が深いものです。本来、こうした平凡な暮らしのなかにこそ、潤いのある「非日常」の演出はなされるべきだと思っていますが、日常のさまざまな「制限」のなかで、最大公約数の希望を作りだしていく力こそ、本当の意味でのプロデュース力と言えるのではないでしょうか。
ところで「四十八茶百鼠」という言葉をご存じでしょうか?
まさに「制限」から生まれた庶民の知恵――たくましい「発想の転換」が生んだ、元禄時代の「粋」の色彩文化です。
華やかな衣装を楽しむ町人たちの贅沢を取り締まろうと、幕府が発令したのは「奢侈禁止令」。衣服の生地や色までも制限されるという屈辱のなかで、江戸の人々はやむなく茶色や鼠色系統の地味な着物を着るようになりました。
しかし彼らは「色」を遊ぶという全く新しい発想の転換で、見事なリベンジを果たすのです。何と従来の「茶色」や「鼠色」に、「団十郎茶」や「璃寛茶」「利休鼠」といった当時人気の歌舞伎役者や風月山水などの名前をつけ、微妙な中間色の色合いを次々と作り出していきました。使える色に「制限」があったからこそ、より豊かな色彩が生まれ、「粋」が競われていったのです。
現代に生きる私たち日本人のDNAにも、こうした「制限」の壁と闘った、江戸の人々と同じ心意気が組み込まれているはず。だとしたら、限界と思いこんでいる自身の臆病の壁だって、超えられないはずがありません。
JAZZを聴きながら、日本の色に遊ぶ不思議な夜。
当分の間、美術館に行く時間は持てそうにありませんが、その代わり自宅に居ながらにして、江戸時代までタイムスリップできる「粋な遊び」を手に入れることができました。
ちなみに「四十八茶百鼠」ってこんな感じ。日本人って、ほんとにスゴイいなぁ。
【茶色】
路考茶、瑠寛茶、梅幸茶、団十郎茶、芝翫茶、岩井茶、路春茶、遠州茶、
利休茶、利休白茶、宗伝唐茶、宗伝茶、観世茶、白茶、黄茶、赤茶、青茶、
緑茶、黒茶、金茶、唐茶、昔唐茶、樺茶、江戸茶、土器茶、枯茶、媚茶、
焦茶、葡萄茶、栗皮茶、煤竹茶、御召茶、黄海松茶、木枯茶、桑茶、沈香茶、
千歳茶、百塩茶、丁子茶、枇杷茶、黄唐茶、山吹茶、鴬茶、鶸茶、雀茶、鳶茶
【鼠色】
桜鼠、素鼠、銀鼠、丼鼠、利休鼠、深川鼠、藤鼠、鳩羽鼠、青柳鼠、
梅鼠、想思鼠、納戸鼠、紅消鼠、松葉鼠、柳鼠、葡萄鼠、白鼠、茶鼠、
藍鼠、錆鼠、濃鼠、小町鼠、薄雲鼠、鴨川鼠、淀鼠、水色鼠、湊鼠、
空色鼠、浪花鼠、中鼠、都鼠、御召鼠、小豆鼠、臙脂鼠、紅鼠、牡丹鼠、
茶気鼠、嵯峨鼠、壁鼠、生壁鼠、山吹鼠、玉子鼠、島松鼠、呉竹鼠、
貴族鼠、源氏鼠、繁鼠、黒鼠
by musenet
| 2005-03-24 02:31
| Life