空薫(そらだき)もの
2005年 10月 05日
秋のせいでしょうか。泣きたいほど切ない気持ちを抑えきれずにいます。
朝、深くたれ込めた灰色の曇り空を見ていたら、何だか無性に会いたくなってしまった人がいました――。
普段は一日として、人に会わない日などあり得ない生活をしている私ですが、今日だけはどこへも出かけず、誰とも会わず、ひっそりと「静の時間」を確保して、自分自身と向き合いたいと思いました。そうすることで自分の中で、ある決着が付き、「夏の終わり」を告げる「通過儀礼」になるような気がしたのです。
先週はずっと母の病院に付き添い、少しナーバスになっていたせいもあると思います。何度も落ち込みかける心をヨイショと持ち上げては、自分の弱さと闘わなければならない日々に、ちょっとだけ「小休止」が欲しかったのかも知れません。今日は敢えて本を読むこともせず、一日中大好きな沖縄の音楽TINGARAをリフレインして、自分自身に「無」の状態を課しました。
その変わり、上質のお香の薫りをプレゼント。廊下や和室、リビングにも香炉を置き、「独り空薫ものごっこ」を心ゆくまで楽しみました。香りを聞く「静の時間」――普段、目に触れることの少ないお香の繊細な煙が、私のささやかな祈りとなって、秋の空に立ち上っていくように思われました。
こうした自分自身と丁寧に向き合う事の大切さを教えてくれたのは、何を隠そう清少納言女史その人です(笑)。高校時代に愛読していた『枕草子』には、「頭洗ひ、化粧じて、香ばしうしみたる衣など着たる。ことに見る人なきところにても、心のうちはなおをかし」と、あります。誰に見せるためでもなく、ただただ「自分自身」と丁寧に向き合うためだけに髪の毛を洗い、お化粧をして、衣服に香を焚きしめて、身支度を凛と整える――これこそ最上級の「女の独り遊び」だと、高校生ながらに感動した事を今でもハッキリ覚えています。清少納言直伝の「自分磨き」に「誰が見ていなくてもオシャレを楽しめる大人の女になろう!」と、心に決めたものでした。時々、自分自身が見えなくなってくると、この「心ときめきするもの」の段を読み返すと、大切なものが見えて来るような気がします。
「空薫(そらだき)もの」――来客のある際、香炉を隠し置き、別室に火取りを置いて、客室の方に薫らせるために焚いた香。(広辞苑より)
ワタシの大好きな言葉。そして大切にしている「おもてなしの心」。――お客様へのホスピタリティーもかくあるべきと、イベントのプランニングのたびに常に立ち返る私の仕事の原点もここにあります。クリスマスイベントの準備もいよいよスタートしました。お客様への「空薫もの=サプライズ」をどう仕掛けて行くか――今週のプラン会議では、その辺りを中心にブレストして行くことになりそうです。
“万年サンタ”の今年一番の腕の見せ所……どうぞお楽しみに。
朝、深くたれ込めた灰色の曇り空を見ていたら、何だか無性に会いたくなってしまった人がいました――。
普段は一日として、人に会わない日などあり得ない生活をしている私ですが、今日だけはどこへも出かけず、誰とも会わず、ひっそりと「静の時間」を確保して、自分自身と向き合いたいと思いました。そうすることで自分の中で、ある決着が付き、「夏の終わり」を告げる「通過儀礼」になるような気がしたのです。
先週はずっと母の病院に付き添い、少しナーバスになっていたせいもあると思います。何度も落ち込みかける心をヨイショと持ち上げては、自分の弱さと闘わなければならない日々に、ちょっとだけ「小休止」が欲しかったのかも知れません。今日は敢えて本を読むこともせず、一日中大好きな沖縄の音楽TINGARAをリフレインして、自分自身に「無」の状態を課しました。
その変わり、上質のお香の薫りをプレゼント。廊下や和室、リビングにも香炉を置き、「独り空薫ものごっこ」を心ゆくまで楽しみました。香りを聞く「静の時間」――普段、目に触れることの少ないお香の繊細な煙が、私のささやかな祈りとなって、秋の空に立ち上っていくように思われました。
こうした自分自身と丁寧に向き合う事の大切さを教えてくれたのは、何を隠そう清少納言女史その人です(笑)。高校時代に愛読していた『枕草子』には、「頭洗ひ、化粧じて、香ばしうしみたる衣など着たる。ことに見る人なきところにても、心のうちはなおをかし」と、あります。誰に見せるためでもなく、ただただ「自分自身」と丁寧に向き合うためだけに髪の毛を洗い、お化粧をして、衣服に香を焚きしめて、身支度を凛と整える――これこそ最上級の「女の独り遊び」だと、高校生ながらに感動した事を今でもハッキリ覚えています。清少納言直伝の「自分磨き」に「誰が見ていなくてもオシャレを楽しめる大人の女になろう!」と、心に決めたものでした。時々、自分自身が見えなくなってくると、この「心ときめきするもの」の段を読み返すと、大切なものが見えて来るような気がします。
「空薫(そらだき)もの」――来客のある際、香炉を隠し置き、別室に火取りを置いて、客室の方に薫らせるために焚いた香。(広辞苑より)
ワタシの大好きな言葉。そして大切にしている「おもてなしの心」。――お客様へのホスピタリティーもかくあるべきと、イベントのプランニングのたびに常に立ち返る私の仕事の原点もここにあります。クリスマスイベントの準備もいよいよスタートしました。お客様への「空薫もの=サプライズ」をどう仕掛けて行くか――今週のプラン会議では、その辺りを中心にブレストして行くことになりそうです。
“万年サンタ”の今年一番の腕の見せ所……どうぞお楽しみに。
by musenet
| 2005-10-05 01:12
| Life